ご挨拶

ポスト3.11のNEPA活動

   ~理事長就任のごあいさつ~

 

 2012 年 6 月 12 日に開かれた理事会で理事長に選任され、大友前理事長からバトンタッチしました山形です。この間、法人として必要な登記、行政組織への届け出などを済ませ、NPO 法人としての活動を開始できる状況が整いました。就任から2ヶ月程経過してしまいましたが、会員の皆様に一言ごあいさつするとともに、これからのNEPAの活動についてご提案いたしたいと思います。

 

  私は日頃、北海道大学工学部で研究・教育に携わっております。所属している研究室(大気環境保全工学研究室)では、大気の監視・観測と大気環境保全策の検討を2つの柱にしています。後者における世界的課題の一つが、炭酸ガスなどの温室効果ガスによる気候変動を如何に防止するかです。私がNEPA の活動に取り組むのは、大学で得られた知見を社会実践するため、そしてそこでの経験を研究・教育に反映させるためと考えています。

 

  2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震を引き金として発生した福島第一原発の事故を受け、国民は大きな転換を模索しています。原子力発電が電力供給の30%を越えているのに、その真の姿について何も知らなかった、知らされていなかった国民が自らの頭で考え、一歩を踏み出そうとしているのが今の日本と言えるでしょう。それは、新エネルギーを普及促進し、環境保全に寄与することを目的とするNEPAが大いにその役割を果たすべき時代と言えます。「原発なしでやっていけるのか」という心配を打破するために、地域に存在するさまざまな自然エネルギーを開発し利用の道を切り拓くこと、生活に必要なエネルギーを減らし北海道のエネルギーの自給率を目指すことが、私たちに求められています。

 

  NEPA はこれまで市民を対象とした啓発活動を主に取り組んできました。2011 年度には道内各地でおこなわれた太陽光、風力、バイオマスに関する6回のセミナーを開催し、中心的役割を果たしました。このような啓発活動に加え、2011年度には北海道の委託事業「バイオマスペレットによる農業ハウス加温システム技術研究開発」に取り組み、大学・研究機関などとの協働も進めました。啓発活動に加え、自然エネルギーの実践も始まっています。

 

  市民の啓発活動から一歩踏み出し始めているNEPAの活動をさらに推し進め、自然エネルギー利用の社会を北海道に作り出していくために力を注ぎたいと考えています。そのためには、個人会員がこれまで同様ボランタリーに活動していただくととともに、法人会員の活動も活発化することが欠かせません。これまで利用されてこなかった自然エネルギーを北海道に根付かせるためには、これを事業として展開することが必要だからです。そのための担い手として法人会員の力が不可欠です。私たちが生きていくために不可欠なエネルギーを生産・流通させる事業は将来に渡って決してなくなることはありません。これまでの事業の拡張、新規参入も視野に入れ、NEPAのネットワークを積極的に利用していただきたいと思います。

 

  将来に渡って自然エネルギーを発展させていくためには、次代を担う世代の育成も欠かせません。自然エネルギーの仕事をつくるとともにそれを実現するための人間を養成する教育も大きな課題の一つです。これまでの市民啓発活動を発展させ、連続講座というような形で一歩を踏み出したいと思います。

 

  かつて石炭を生産し日本のエネルギーを担った北海道で、地域に根ざした自然エネルギーの利用を実現させるのが私たちの目標です。食料自給率の高い北海道で、エネルギー自給率も高めることができれば、他地域に依存することなく豊かな北海道を自ら作り出すことが可能となるでしょう。個人会員・法人会員の皆様と力をあわせ北海道を魅力ある地域にしていきたいと思っております。会員の皆様には、これまでにも増してNEPAの活動に参加していただけますようよろしくお願いいたします。

 

  2012年8月吉日

  特定非営利活動法人 北海道新エネルギー普及促進協会 理事長 山形 定